首のヘルニアと診断され
手術した高齢のワンちゃん。
手術前は確かに歩いていた。
突然、痛がって立てなくなった。
手術すれば、歩けるようになる
って言われた。
手術は上手くいった。
入院中、見舞いに行った時は
伏せの状態で動かなかったが、
手術したばかりだから仕方ない
って、思っていた。
退院時は、立てなかった。
家でリハビリするよう言われ、
後ろ足を自転車をこぐような感じで
動かすよう指導を受けた。
歩けるようになるって言われた。
退院して1ヶ月間、その言葉を信じて、
一生懸命、後ろ足を動かしていた。
無理矢理にでも、ゴハンを食べさせて、
筋肉をつけようとした。
でも、立てない。
立てないどころか
寝たきりになってしまった。
その間、
前足を自分で噛んで傷つけ、
病院で治療してもらったりしていた。
「立てない。歩けない。」
って何回も言った。
「おかしいな…立てるはずなんだけど…」
と、いつも言われた。
そう言われる度に、
「きっと立てるようになる」
って思って、一生懸命、後ろ足を動かして
ゴハンをいっぱい食べさせた。
でも、立てないの。歩けないの。
それで、私に相談しに来た。
問題は後ろ足ではなかった。
前足。
肩の部分の筋肉萎縮がひどい。
前肢は完全麻痺状態。
これじゃあ、立てるわけがない。
なぜ、気付かなかった？
いつから、麻痺になった？
手術前？
手術後？
入院中？
退院してから？
前足の怪我の治療時に、
痛がらなかったはず。
そこで、なぜおかしいって気付かない？
今さら、あーだ、こーだ
言っても、もう終わった事。
「立てるようになる可能性はゼロに近い。」
って言った。
本当は「ゼロです。」って言いたかった。
でも、飼い主さん、今だに
「手術したら歩けるようになる」
って言葉を心の片隅で信じている。
だから、言い辛かった。
飼い主さんも諦めきれない。
奇跡が起こるかもって思ってる。
だから毎日、お世話して
完全麻痺した前足を一生懸命動かしている。
私も、飼い主さんが納得いくまで
お付き合いするつもり。
奇跡が起こればいいけれど…
